クリニックブログ

2020.04.09更新

新型コロナウイルス対策(3)

前回の補足となりますが、アンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬はACE2受容体を増加させる作用のあることが報告されています。ある研究者はACE2受容体が増えると、新型コロナウイルスがACE2を介して感染するリスクが増加するのではないかと述べていますが、これら降圧剤服用者に感染者が多いという証拠は今のところありません。ACE2受容体は元々子供に少なく、年齢とともに増加し、女性よりも男性に多いとされています。糖尿病や高血圧の方にもACE2は多く発現していると言われています。従って、高齢の男性で特に糖尿病や高血圧のある方は、新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化しやすいといえます。欧米の循環器系学会はアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬は心肺系の合併症の発症を抑える働きがあるため、内服されている方は中断することなく継続されるように声明をだしていますので、どうぞご不安なく生活してください。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.03更新

新型コロナウイルス対策(2)

新型コロナウイルス感染拡大の最中、東大の医科研が日本の鳥居薬品が開発したナファモスタット(商品名 フサン)という膵炎の薬が、新型コロナウイルスの感染予防効果があるとの発表をしました。以前より、SARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスに対して、ナファモスタットと同類のカモスタット(商品名 フォイパン)のウイルス感染阻止効果が報告されていましたが、今年の3月にドイツの研究グループが新型コロナウイルスに対してもカモスタットのウイルス感染阻止効果があることを報告しました。2016年のSARSコロナウイルスに対してカモスタットを用いた動物実験ではヒト換算で、カモスタット300㎎/日の投与でウイルス感染阻止の有効性が確認されております。この量は術後の逆流性食道炎に投与する量に相当しますので、安全性は確保されています。ただし、ドイツの報告では新型コロナウイルスに対しては、in vitroの実験系ではありますが、ヒト換算するとかなりの量のカモスタットを投与しないと効果が認められないということです。その点、ナファモスタットはカモスタットの10分の1以下の量で効果が認められるということで、臨床応用が期待されているのです。ナファモスタットもカモスタットもコロナウイルスに対しての感染阻止機序は同じなので、経口剤のカモスタットで臨床応用ができれば理想かと思われます。カモスタットの有効投与量はまだ不詳ですが、更なる動物実験などで明確になれば、ワクチンが未だ開発されていない現状では、予防薬としての期待が大きくなります。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.02更新

新型コロナウイルス対策(1)

前の内容が前座となりますが、最近の知見では新型コロナウイルスはアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合することにより、ACE2の活性を低下させ、その結果、増加したアンギオテンシンIIがアンギオテンシンII受容体と結合し、アルドステロンの上昇を引き起こすことがわかっています。過剰に増えたアルドステロンはアルドステロンブレークスルーによる心血管系障害を引きおこし、肺炎や心不全を悪化させると考えられています。新型コロナウイルス感染者において、急激に肺炎が進行し致命的になる理由の一つと考えられています。特に前述のアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬を服用されている高血圧症の患者さんではアルドステロンブレークスルーのリスクが高くなると考えられますので、アルドステロンブレークスルーを起こしにくいオルメサルタンやアジルサルタンを含む降圧薬に切り替えることで、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待されます。血圧の薬を服用されている方で、ご自身の処方箋を一度、見直してみてはいかがでしょうか。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.04.02更新

アルドステロンブレークスルー

血圧を調節するホルモンであるレニン-アンギオテンシン-アルドステロンの分泌量が増すと血圧が上がることが知られております。降圧薬(血圧を下げる薬)の一部にはこのホルモンの働きを抑えて、血圧を下げるものがあります。このうちのアンギオテンシンというホルモンが血圧上昇の最も重要な鍵を握っています。アンギオテンシンにはIとIIがあり、IIはアンギオテンシン変換酵素によりIから作られます。アンギオテンシンIIは血圧調節の中心的な働きをしているため、降圧薬はアンギオテンシンIIを標的として開発されてきました。その降圧薬の一つにアンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬があります。この受容体をブロックすると、アンギオテンシンIIの作用が減弱しますが、この状態が長期間持続するとアンギオテンシンIIがアンギオテンシンに変換されなくなるので、アンギオテンシンIIの濃度が上昇した状態が続きます。その結果、アンギオテンシンIIがアンギオテンシンII受容体AT2を刺激し、アルドステロンが過剰になります。いわゆる、アルドステロンブレークスルーと呼ばれており、血圧が上昇するなどの心血管障害を進展させる有害事象が起こります。この事象が生じる頻度は6か月服用で約10%、1年で約53%と言われています。しかし、アンギオテンシンII受容体AT1拮抗薬のうち、オルメサルタンとアジルサルタンはアンギオテンシンIIをアンギオテンシンに変換するアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)を活性化することで知られており、ACE2がアンギオテンシンIIをアンギオテンシンに変換することで、アンギオテンシンIIの濃度が低下し、アルドステロンブレークスルーが起きにくくなります。もし、降圧薬を服用している方で、最近、血圧の下がりが悪くなったと感じていましたら、かかりつけ医に相談することを勧めます。

投稿者: みなと芝クリニック

2020.03.07更新

日本医事新報

皆様、大変ご無沙汰しております。本来はもっと医療に関する情報発信をしていきたいと考えておりますが、情報が溢れかえっておりまして、取捨選択する作業が大変なため、なかなか思うように実行できないのが現状です。さて、2020/03/07発刊されました日本医事新報 No.5002に当院のインタビューが掲載されました。当院の採用しています時間枠予約システムについてです。E-PARK担当の方が当院を推薦なさって下さいました。結論は採用して良かったということですが、当院で採用したいきさつやコンセプトとの関連について、うまくまとめ上げております。顔写真は元が今一ですが、良く写っていると思います。是非、ご参考にしてください。

投稿者: みなと芝クリニック

2019.12.13更新

Tokyo2020大会ボランティア

先日、Tokyo2020の大会ボランティア(Field Cast)のオリエンテーションに行ってきました。私のボランティア参加の目的は様々な人々と出会えること、そしてオリンピックに来られた方は選手も含め、気持ちよくTokyo2020を楽しんでいただけるようサポートすることです。オリエンテーションのテーマの一つに「Diversity and Inclusion」がありました。多様性と受入れです。オリンピックは様々な文化や言語を持つ国からくるだけではなく、障害を有する人々も参加します。このような人々を受け入れるためには、私たちが障害とはどんな状況か?を理解しなくてはなりません。健常者とは異なる身体的、精神的、社会的ハンディキャップを有する人達が、健常者が中心の社会において、差別や社会的不利を被って、公平な生活を営なめない状況に置かれていることで、障害のある人が社会で生きて行く上で、その人が抱える障害ゆえに難しい事を社会の問題としてとらえて解消し、障害のある人がない人と同じように同じ社会で当たり前に過ごせるようにしていかなければならないのです。そこに、何でもかんでも手助けしなくてはならないとか、何らかの特権を与えるなど、過度に弱者扱いして、本人ができることに、手助けをする必要ないのです。しかしながら、ハンディキャップには様々な種類があり、それぞれのハンディキャップを有する人がどのようなサポートを必要としているかを適切に判断するのは容易ではないかも知れません。それだからこそ、常日頃、健常者目線で考えないよう、一人ひとりが自覚しなければならないのでしょう。Tokyo2020 まであと半年となりましたが、ボランティアに携わる一人として、準備して行きたいと思います。

投稿者: みなと芝クリニック

2019.08.04更新

くらげのシーズン

ご無沙汰しています。長い梅雨も明け、海や山へのレジャーシーズンとなりました。その分、虫刺されや外傷は付きものです。その中で、海ではクラゲに刺されたという経験のある人は多いのでないでしょうか。痛いですよね。クラゲやイソギンチャクの一部には、刺胞と呼ばれる器官があり、その中に毒針が仕掛けてあります。不意に刺胞に触れると毒針が発射されて皮膚に刺さります。この刺胞自体が皮膚にも付着するため、不用意に真水で洗ったり、こすると更に毒針が出て症状が悪化しますので止めてください。刺胞を持つクラゲはアンドンクラゲ、カツオノエボシ、アカクラゲが代表的です。これらの毒はいわゆるタンパク質なので、熱に弱いとされています。72℃で失活すると言われていますが、刺された直後なら50℃のお湯に20~30分漬けることにより、予後が良くなります。時間が過ぎてしまうと局所の腫れと痛みが増強しますので、この段階では冷やすようにします。2回目に刺された時はアナフィラキシーに注意しなければなりませんので、喘息症状や低血圧症状が出た場合は最寄りの救急医療機関を速やかに受診してください。また、クラゲアレルギーを獲得してしまった場合、納豆にもアレルギーが出てしまうことがあることをお忘れなく。

投稿者: みなと芝クリニック

2019.05.23更新

9年経ちました

お陰様で令和元年5月15日に、開院9周年を迎えました。思い出すと色々なことがありましたが、それらがついこの間の出来事のような気がします。9年もたったなんて、とても不思議です。開院当初の気持ちを忘れずに、原点に立ち返って、クリニックの在り方を見直して行きたいと思います。これからも宜しくお願い致します。

投稿者: みなと芝クリニック

2019.04.17更新

なぜスギ花粉免疫療法はヒノキ花粉症に効かないのか

今、花粉症でお悩みの方は多いと思いますが、4、5月はヒノキが原因と考えられています。最近、スギ花粉症の治療に免疫療法(シダトレン)が開発され、注目されています。スギ花粉症の人はヒノキ花粉症も有している方が多いので、当然、シダトレンがヒノキ花粉症に効くと思われがちですが、実際のところ効かないようです。スギもヒノキも同じ抗原を持つので、両方の花粉症を持つ人が多いのですが、含まれる抗原には4種類ありまして、そのうちの1種類がヒノキに多くてスギに少ないことが判明しています。スギの治療薬はスギに多い抗原を用いますので、必然的にヒノキに多い抗原に対する免疫寛容は起きにくくなります。従って、一旦治まったスギ花粉症はヒノキの時期に再び悪化するのです。ヒノキに多い抗原は採取精製が困難で、治療薬はまだ開発されていません。このような理由ですので、当分の間、ヒノキ花粉症の方は抗アレルギー薬が必要となります。

投稿者: みなと芝クリニック

2018.12.09更新

お久しぶりです。

今年夏以来です。この数か月、様々なイベントがあり、日常のペースが乱れておりました。しかし、患者さんの数はお陰様で順調に増えて、11月には開院以来1万5千人に達しました。ここに感謝を申し上げます。また、Eparkの口コミも200件を突破し、良くも悪くも皆様がみなと芝クリニックを評価して頂いていることを有難いことと感じております。スタッフや関係各位のサポートがあってこそ成し得ていることだと、常に感謝の気持ちを忘れずにいます。つくづく一人ではここまでやって来れなかったなという感じですね。これに甘んずることなく、慢心にならないよう、自戒しつつ、更に発展させていきます。これからも応援宜しくお願いいたします。

投稿者: みなと芝クリニック

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