更年期からの骨粗しょう症の予防と治療

第1、3木曜、第2、4金曜  9時00分~12時45分
火曜、木曜、金曜       16時~18時30分


外来担当医師 黒野 晴子 院長
       川本 徹 名誉院長

骨粗しょう症は生活習慣病のひとつ。
将来にわたって健康な毎日を送るために、予防と治療が必要です
当クリニックでは、閉経後(更年期)の骨粗しょう症の予防指導と治療に力を入れています。

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、「骨の量が減ったり弱くなったりすることによって、骨折しやすくなる病気」のことです。

最近の日本では、女性の骨粗しょう症の推定患者数は870万人ともいわれています。

骨粗しょう症になると、脊椎の圧迫骨折や大腿骨頚部骨折のリスクが高まり、将来、寝たきりになったり、認知症になったりする恐れがあります。

骨粗しょう症が圧倒的に女性に多いといわれるのは、閉経を迎える50歳前後を境に、骨の新陳代謝に大きく影響する女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減るためです。

特に閉経後で、「高ホモシステイン血症」「家系に大腿骨頚部骨折をされたことの方がいる」「喫煙者」「ビタミンB6欠乏のある方」「骨密度測定で骨粗しょう症の兆候があると指摘された方」は、骨折のリスクが高まります。
*「高ホモシステイン血症」「鉄欠乏、ビタミンB6欠乏」「骨塩定量」は、当クリニックで測定が可能です。

検査代(閉経後あるいは続発性のみ骨塩定量検査は保険適応になります)

血清ホモシステイン測定

4,000円

血清ビタミンB6分画 20,000円
骨塩定量 1,000円

骨粗しょう症予防治療について

骨塩定量検査で骨密度が70%から80%の方は骨粗しょう症予備軍です。そのまま対策をしないでいますと、骨密度が60%台になって骨粗しょう症となります。骨折のリスクは骨密度が10%下がると1.5~2.6倍になるそうです。そのためにも骨粗しょう症予備軍のうちに治療することをお勧めします。以前は、骨質を改善するためには、エストロゲンホルモンの補充療法を用いてきました。しかし最近は、エストロゲンが、骨以外の臓器に悪影響を及ぼしたり、乳癌、子宮癌、卵巣癌等の悪性腫瘍の発生を増したりすることがわかってきたため、エストロゲンに類似した作用で骨密度を増やす「SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン)という薬を用いるようになりました。この薬は、骨密度が下がり始めた時から予防的に飲むことで効果が期待できます。SERMは骨の硬さというよりはしなやかさを改善し、骨折しにくくします。

骨粗しょう症治療について

骨は古くなったものが壊されて吸収され(骨吸収)、壊された骨のところに新しい骨の再生(骨形成)が絶えず続けられることで1年間に20〜30%の骨が新しい骨に入れ替わっています。
骨粗鬆症は、このバランスが崩れて、骨吸収が骨形成を上回り、骨の密度の低下が著しくなることによって起こります。そのほかにも、骨の骨格となるコラーゲンなどの成分の劣化による骨質の低下も骨粗鬆症の原因となります。

骨密度が70%以下に下がった場合は骨粗しょう症と診断されます。骨粗しょう症の治療は薬物療法が基本となります。

(1)骨の破壊・吸収を抑える薬

ビスホスホネート製剤

特徴
・骨密度上昇効果が高い
・服用間隔は1日1回から1週間に1回、4週間に1回、1年に1回と多様
・3〜5年で内服終了。
副作用として顎骨壊死があり、虫歯の治療などで抜歯処置をする場合は3か月ほど休薬が望ましい。その他に胸やけなどの逆流性食道炎の症状が出るため、服薬時、以下の点に注意
・起床後すぐの空腹時にコップ1杯の水で服用
・服用後30~60分間は水以外の飲食を避け、横にならない

抗RANKL抗体製剤
・プラリア®︎注
特徴
・骨密度上昇効果が高い
・低カルシウム血症が現れる事があるため、デノタス等のカルシウム製剤を併用する必要あり
・顎骨壊死の報告あり
・6ヶ月に1回施注
・投与を中止すると骨密度が元に戻る(Over Shooting作用)
・効果の頭打ちはなく、継続すると骨密度は上昇する
・投与中止する場合にはビスホスホネート製剤への切り替えが望ましい

選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)
特徴
・骨密度上昇効果はあまり高くないが、安全性が高い
・乳がんの予防効果報告あり(エビスタ®︎)
注意点
・ホットフラッシュや発汗など更年期障害を悪化させる危険あり
・静脈血栓症のある患者、術後回復期等で長期安静(動かないでいる)状態には禁忌

カルシトニン製剤
特徴
・骨量増加効果は弱く、骨折防止効果は乏しい
・中枢性鎮痛作用があるため骨粗鬆症に伴う疼痛に対して使用

(2)骨形成を促進する薬

副甲状腺ホルモン(PTH)製剤
特徴
・骨密度の上昇効果が高い
・生涯で24ヶ月までしか投与できない(骨腫瘍のリスク上昇)
・大腿骨近位部骨折に対しては効果が弱い

抗スクレロスチン抗体製剤
特徴
・骨芽細胞にも破骨細胞にも作用する新しいタイプの治療薬(骨吸収抑制作用もあり)
・骨密度上昇効果が高い
・心血管イベントの影響が懸念
・投与は基本12ヶ月で終了(終了したあとも再投与可能)

ビタミンK2製剤
特徴
・脂溶性ビタミンの1種(脂溶性のため必ず食後に服用する)

(3)骨代謝を調節する薬

カルシウム製剤
特徴
・単独で用いても効果は乏しくビタミンDとの併用が望ましい。
腎・尿路結石ができやすい
                                               
活性型ビタミンD3製剤
特徴
・骨密度上昇効果はあまり高くないが、安全性が高い
・エディロール®︎はワンアルファ®︎の改良版で活性が強い
・腎機能低下患者では高カルシウム血症のリスクが高い
・転倒リスク軽減の報告もあり

骨粗しょう症の予防のおすすめダイエット

骨粗しょう症は、他の生活習慣病と同じように食生活や運動習慣などの生活習慣を改善することで予防できる病気であることがわかっています。これから骨を丈夫にするための栄養素を説明します。

カルシウム 骨量を増やすことにより、骨密度を上昇させ、骨を頑丈にします。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を始め、小魚、豆腐、納豆にも多く含まれます。特に乳製品のカルシウムは腸からの吸収がアップしますので、お勧めです。

マグネシウム 骨は、カルシウムだけでなく、マグネシウムやリンなどによっても構成されており、骨の弾性や密度の維持に関与しています。カルシウム2に対し、マグネシウム1を摂るのが理想と言われています。マグネシウムは主に海藻類に含まれます。

ビタミンD 腸からのカルシウムの吸収を促進する作用とカルシウムを、骨を作っている現場まで運ぶ作用があります。日光に当たるとビタミンDは働き始めますので、一日最低15分はお日様に当たるようにしましょう。きのこ、サケ、サンマ、サバ、イワシに多く含まれます。

ビタミンK カルシウムが骨に取り込まれて骨を形成したり、カルシウムの排泄を抑えて骨の破壊を防いだりします。骨密度を増やすというより、骨質(しなやかさ)を良くします。納豆、小松菜、ホウレンソウ、春菊に多く含まれます。

ビタミンB6、B12,葉酸
骨の重要な構成成分であるコラーゲンの劣化を予防し、コラーゲンを形成するために必要な補酵素です。B6はマグロ、カツオ、レバー、バナナに多く含まれます。B12もレバーに多く含まれますが、アサリやハマグリ、しじみなどの貝類や牡蠣に多く含まれています。葉酸は海苔、うに、いくら、ブロッコリー、えだまめ、レバーに多く含まれています。

タンパク質 骨の骨格になるもので、骨格がしっかりしていないと骨も丈夫になりません。一日の摂取目安量は80g(市販のサラダチキン用胸肉で4パック相当)です。

ビタミンC・鉄分 コラーゲンはタンパク質(アミノ酸)とビタミンCを原料に、鉄のサポートを受けて生成されます。鉄分はヘム鉄という動物性(肉)のものの吸収が良くてお勧めです。一方、植物性は非ヘム鉄と言われるもの(野菜など)で、吸収が悪いためビタミンCと一緒に摂ると吸収がよくなります。

イソフラボン イソフラボンは体内でエクオールというエストロゲン類似物質に代謝され、骨粗しょう症を予防します。ただし、日本人女性の約50%にエクオールを作れない体質の方がいますので、エクオールを直接摂取しなければなりません。エストロゲンと同様、骨からのカルシウムの流失を防ぎます。イソフラボンは大豆製品に多く含まれます。豆乳、豆腐、納豆などいずれかを一日一回は摂取しましょう。

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