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2024.04.29
多診療科標榜についての私の見解
開業医が診療科の標榜を多く掲げていると、同業者から快く思われない場合が多いです。専門医資格を有していないのに標榜することに対して、批判があるのは確かです。たとえば、処置や治療が適切でなかったり、見落としや誤診で患者さんが不利益を被ることなどが主な理由です。更に、後医にトラブルの後始末をさせて、迷惑をかけてしまうこともあります。確かに専門外の診療科を標榜するような医者には、誤診や適切でない治療を行っても、結局は後医(多くは専門医)に丸投げし、知らぬ、存ぜぬという態度で、責任をとらない方も見かけます。ですから専門医は必ず専門医を標榜している医師に受診するように勧めます。しかし、専門医とはいえ、誤診はある一定の確率で起こることが証明されていますので、専門医が鬼の首を取ったつもりでいても、知らない所で自分も鬼の首を取られているかも知れません。専門医は専門以外のことは診ないので、「~科的には問題ありません」と言って、その後の患者さんには興味を示さない傾向にあります。患者さんを誤診することは少ないかも知れませんが、診断できていないことには変わりありません。あの先生は診断できなかったということになるのです。もしかしたら、専門医が知らないだけで、回りまわって専門領域の疾患が原因だったということもあるかもしれません。そうであれば、立派な誤診といえるでしょう。私はそれでは医者としては不十分と考えます。患者さんの訴えや症状にはそれなりの理由があるはずです。その症状を説明できなければ、何か見落としていることがあるのではないかと考えるのが普通でしょう。患者さんの症状は血圧や血液検査の異常だけではありません。皮膚の症状や四肢のしびれ、腰の痛みが初発の内科疾患もあります。私はそういう意味で標榜科に皮膚科や整形外科を表示する意義があると思っています。標榜する以上は当然、皮膚科や整形外科疾患を熟知する必要がありますので、猛烈に勉強します。たくさんの皮膚や整形の患者さんを診ていくと、その症状が内科疾患の可能性があるかどうか、より確かに判断することができるようになってきます。私はこの14年間、専門領域でない診療を行う責任感を強く感じながら、適切な診療を提供できるよう努めて参りました。今では、自身の専門分野顔負けのような状態というのは、言いすぎでしょうが、当院を受診される皮膚科や整形外科の患者さんが増えて来ています。患者さんから「ここは内科だけでなく、皮膚や整形も見てくれるから助かるし、安心だ」という声をよく頂きます。私はこのお言葉を糧にして、これからも、いつも患者さんに選ばれる開業医を目指して、頑張っていきたいと思います。
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