2015.10.06更新
救急医療現場で気付いたこと
相も変わらず、月2回程度のペースで救急病院で診療を行っています。1次がメインの2次も診るというところですが、脳外科が有名な病院なので、めまい、立ちくらみ、意識レベルの低下を主訴にした高齢者がひきり無しに搬送されます。その多くは脳外科の先生がいない病院の罹り付け患者さんです。救急隊が連絡しても脳外科が無いからといって断わられるそうです。搬送された患者さんの頭部CTで異常がなければ、内科に回されるのが普通です。高齢者なのでたたけば誇りが出るのはしょうがないのですが、内科的理由でめまいや立ちくらみが生じている場合が多いのです。罹り付けが有床診療所であれば、脳に異常が無いのであれば個人的に転院をされた方が患者さんの為になると思うのです。内服薬のことや、いままでの経過が現場では全く分からないこともあります。高齢者を管理する時は必ずといって頭の問題がありますので、無床診療所では仕方ありませんが、専門でないからといって拒否していると日本の高齢者医療は立ちいかなくなるような気がします。これは単に医者の数を増やしただけでは解決できない課題だと思います。憂えているのは私だけでしょうか。
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2015.09.25更新
肝内胆管癌
女優の川島なお美さんが胆管癌でお亡くなりになりました。術後約1年だったそうです。12時間に及ぶ手術ということは相当な進行癌だったことが推測されます。でも一年は早すぎますね。それだけ肝内胆管癌は悪性度が高いという証拠です。現在は手術治療が唯一ですが、術後成績は未だ芳しくありません。全体の術後5年生存率は26%ほどです。最近は若い方々でこの病気に罹患する率が高くなっています。原因はまだはっきりしませんが、日本ではその一つに印刷会社で使う有機溶剤が関連していることが知られています。原因が究明できれば予防法や治療法が開発されるのですが、なかなか難しいようです。早期発見に関しても、早期における症状がほとんど無いため、症状が出た時に医療機関を受診した時は既に進行している場合が多いです。川島なお美さんは最後の手段として高濃度ビタミンCの点滴をされていたようです。癌に対する効果のエビデンスに乏しいという欠点はありますが、進行癌の勢いを抑えるには毎日100g程度の投与が必要という知見もあります。川島なお美さんのご冥福を祈ります。
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2015.09.22更新
壮快
新着情報でもお知らせいたしましたが、「壮快」という健康雑誌の11月号に私が解説した記事が掲載されました。糖尿病と腸内フローラについてです。要は善玉菌が増えると糖の吸収が抑えられて血糖のコントロールがしやすくなるということです。私の目標はあくまでインスリン治療をできるだけ減らしたいところにあります。少なくとも内服薬だけで糖尿をコントロールできれば、自己管理の問題やひいては医療経済の問題から解放されます。「壮快」では献立のレシピも掲載されていますので是非参考にしてください。糖尿の方でも食事は生き甲斐の一つです。過度な食事制限は人生を暗くし、意欲を低減させます。病気は抱えていても、病気と共存し健やかに老いることを目指しております。糖尿病見直し外来盛況してます。
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2015.09.15更新
被災地の医療現場を見て
常総市の医療の現場が一部報道されていました。医療機器が浸水し、使用不可となり業務が停止した状態です。患者さんは待ってくれませんので、現場の先生たちは大変なことと思われます。しかも災害時は必要な医療スタッフが揃わないことから、事実上診療は難しいかも知れません。ライフライン、特に電気の供給がストップしてしまうと命に関わる患者さんも多いと思います。地域中核病院の先生方は災害で発生した重症患者も診なければなりません。自分はそういう場面に遭遇したことがないし、被災地に応援にいったこともありませんので、想像がつきませんが、医師数に対し患者数が圧倒的に上回ることは確かだと思います。骨折した患者さんが、頭痛と腹痛の訴えをしたとしますと、通常であれば、この患者さんは整形外科だけではなく、脳外科や消化器科の医師の診察が必要となります。しかしながら、絶対的医師不足の状況では1人の患者さんに3名の医師は無理で、恐らく1人の医師が対応しなければならないでしょう。しかし、実際は「専門外だから手出しをしない」「専門外は手を出すな」という風潮があり、専門外の患者さんは診ないのが現状です。災害現場では専門外を見ない医師は意味がありません。専門外も診れるよう日頃からトレーニングを積んでなければ、一朝一夕でできるものではありません。私は元々、医療過疎地域の大学で研鑚して参りましたので、一人の医師が一人の患者さんのすべてを診るよう教え込まれました。災害時には少しでも役に立てるよう、これからも信念を貫いて、患者さんの全身を診る診療を行っていきたいと思います。
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2015.09.04更新
今年のインフルエンザワクチン
平成27年度からインフルエンザワクチンの内容が変更になりました。昨年度まではA型2株とB型1株に対するワクチンでしたが、今年度からA型2株、B型2株に対するワクチンになります。それだけ予防効果が高くなることが推定されます。今までB型は2株のうち流行するのがどちらかであるため、1株しか含まれていなかったそうですが、はずれると予防効果がありませんでした。米国での研究の結果、B型は2株が混合して流行することが判明したので4株対応になったという経緯があります。ただ、難点は価格が上がってしまったことです。当院ではできるだけ予防接種を推進する立場をとっておりますので、値段はなるべく抑え気味で考えております。
昨年は3000円でしたが、500円アップの3500円を予定いたしております。どうぞご理解のほど、宜しくお願い申し上げます。
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2015.08.28更新
最近の熱中症
お盆休みのあと、しばらくしてました。今週に入って涼しい感じになりましたが、まだまだ湿度が高いので熱中症には気をつけましょう。今年は熱中症が広く知れ渡り、少しでも異変があるとクリニックを受診される方が増えたと思います。一般には熱中症の初期症状は脱水ですので、血圧が下がり脈が速くなる症状が現れますが、最近もしかしたらというのは、①血圧上昇、②めまい、③足の痛み、もしくは腫れ、④腹痛のいずれかを主訴とする場合も熱中症ではないかと考えています。しかも涼しいと思われる室内にいることが多いのです。エアコンはここのところかけている方が多いのですが、省エネもあり温度が高目に設定されているようなので、意外と室内にいても脱水になりやすかも知れません。夜間の気温が下がらないので、夜間に脱水となり熱中症になるとの意見もあります。いずれにしても、循環障害が上記①~④の症状として現れる原因ではないかと思います。気温が低くても湿度が高いので熱がこもりやすいので、9月に入ってもまだまだこまめに水分を摂る必要がありますので、注意しましょう。
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2015.08.07更新
大腸癌が一位
先日、国立がん研究センターが全国409施設の2013年がん登録集計結果を発表しました。それによると、男性では大腸癌が54601件、胃癌が52807件と大腸癌が胃癌を抜きトップになりました。女性では乳癌に続いて大腸癌が2番目に多い結果となっております。死亡率は女性では大腸癌が1位となっています。大腸癌はなかなか検査が大変で、嫌がられることが多いと思いますので、どうしても胃癌のように検診の効果が出にくいと考えられます。やはり、早期発見できれば死亡率が低下しますので、これからは大腸癌スクリーニングを啓発し、大腸内視鏡検査を普及させることが重要になってくるでしょう。最近の研究ではポリープがあると大腸癌になりやすいと言われていますので、ポリープを見つけ次第取ることが推奨されているようです。当院では1日1件のペースで丁寧に患者さんの負担にならないように検査を行なっております。検査に抵抗のある方も気軽に相談してください。
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2015.07.28更新
専門家
新国立競技場の件で大変もめていますが、デザインを決定された建築デザインの専門家は、建設にかかる費用や維持費は専門家ではないのでわからないし、考えもしなかったような内容の発言をしていました。これを医師と患者さんで置き換えてみますと、たとえば消化器外科の専門医が手術することだけ考えて、患者さんの負担する費用やその後の生活のことはわかりませんというのと似ているなと思いました。もちろん、病気を治すことが第一ですから、命に関わることなら仕方がないので、新国立競技場とは比較にならないと言うかもしれませんが、命に関わらないレベルの治療においてもそう言えるのでしょうか。私はそうとは思いません。患者さんの背景も考えながら最良の治療法を選択することが、本当の専門家ではないでしょうか。「木を見て森を見ず」という格言を散々聞かされているにも関わらず、木しか見ない専門家が多すぎるような気がします。私はそういう意味も含めて、診療科を多岐にわたって患者さんを診ることを心掛けています。専門家のいうことに少しでも疑問を感じたら、是非ご相談ください。
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2015.07.11更新
リニューアル
皆さん、ドクターズファイルというサイトをご存知でしょうか?もう既に見られた方が多いと思いますが、当クリニックも掲載しております。ホームページだけでは伝えられないクリニックのコンセプトを院長の経歴も含めて記載しています。クリニックの雰囲気を知るには良いサイトだと思います。昨年12月に移転しましたので、内容を一部刷新しております。診療科が増えたことと、7月末から大腸内視鏡検査を開始することを特記しております。当クリニックは都心でも数少ない総合的な診療を行い、地域医療に貢献することを目指しております。専門医にも引けを取らない気持ちで、日夜研鑚しております。これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
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2015.06.19更新
ピロリ菌除菌後の再感染
日本では2年前よりピロリ菌感染のある萎縮性胃炎に対し、除菌治療が保険適応となりました。胃癌予防の観点から除菌者は増加すの一途を辿っていますが、患者さんから最近よく質問を受けるのが除菌後の再感染についてです。そこで最近の知見をお話いたします。現在の日本は水道事情が良くなり、井戸水を引用で使用している人はほとんど無くなりましたので(特に若い世代)、再感染はまずないと言えます。しかし、1年以内に再発した場合は、再感染というよりも除菌判定が偽陰性だったための除菌失敗が理由だそうです。従って、除菌したからといって安心はできないそうなので、1年後に再検をするのが望ましいそうです。一方、除菌後1年以上経ってからの再陽性は新たな感染をしたと考えられます。井戸水を飲用にしていたり、海外のピロリ菌汚染地域で生水を飲んだりすると感染することがあります。ただし、家族間では普通の接触をしている限りでは感染しませんのでご安心ください。当院では尿中ピロリ抗体の迅速検査(約20分)を行っています(自費で2000円(税抜))ので、どうぞお問い合わせください。
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