2016.01.29更新
NASH
昨日、地区の講演会で筑波大の先輩と後輩が講師として招聘され、聞きにいってきました。後輩の方は、難治性逆流性食道炎の話で、酸の分泌を抑制する薬を投与しても改善しない状態を非酸性逆流症として、その治療法をいくつか提案していました。実地臨床に非常に役立つ話でした。先輩の方は、NASH、すなわち非アルコール性脂肪肝炎の話でした。先輩はこの領域の専門家です。NASHの10パーセントが肝硬変に移行し、そのうちの数パーセントに肝癌が発生するそうです。脂肪肝は日本に約2500万人いるといわれています。そのほとんどがメタボリック症候群であるため、NASHにならないようにするには減量が大切ということです。目標値は現在の体重の7%だそうです。70kgだと約5kg痩せることになります。減量とともに脂肪肝を改善するにはビタミンEの摂取が推奨されているそうです。また、糖尿病を合併している方では、ピオグリタゾンという糖尿病薬が有効だそうです。まずは減量ですが、なかなか
簡単にはできないし、たとえ成功しても体重を維持していくことが難しいですよね。食べても太らないは現代人にとって永遠のテーマかも知れません。当院では低糖質のダイエット食を提供しています。味は悪くありませんので、お悩みの方は是非相談してください。
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2016.01.18更新
50代の脳血管障害
今や日本人の死因は1位がん、2位心疾患(心筋梗塞など)、3位肺炎で脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)は4位となりました。心疾患は生活習慣が欧米化していること、肺炎は高齢化していることから増えていますが、脳血管障害は栄養状態の改善とともに出血は減少し、梗塞が増加しています。しかし、最近は高血圧症や糖尿病の基礎疾患があれば若年でも脳出血のリスクが高いことが指摘されています。先日、高血圧を放置していた男性が、脳出血にて救急車で搬送され、緊急手術を受けられているのを目の当たりにしました。右半球1/3ぐらいを占める重症でした。手術が成功しても相当の後遺症が予想されます。しかも年齢が50歳前半でした。年齢が自分と近いのがショックでした。脳血管障害など縁の無い話だと思ってましたが、急に現実味を帯びてきました。明日は我が身かと思うと、ある程度保険関係や住宅、経営関係の書類を整理整頓しておいた方がいいのかなとか、自分ではへっちゃらと思っていることも少しセーブした方がいいのかなと考えてます(考えているだけで、医者の不養生?)。働き盛りの皆さん、自分は平気と思っていると危ないですので、高血圧気味の方や糖尿予備軍の方は用心しましょう。
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2016.01.15更新
保育園
新年のご挨拶が遅くなりました。成人式も過ぎてしまい、お正月モードはありませんが、本年も宜しくお願いいたします。先日、町内会の新年会がありまして、毎年顔を出させていただいているのですが、今年は申年で12で割ると余りが無いということで、物事が完結する年だそうです。地元周辺はアベノミクス効果なのかマンションの建設ラッシュです。町内会の人口が増加することが期待されていました。それに伴い、若い世代の方も増えますので当然、小さなお子さんも増えることでしょう。都内も認可保育園が不足しており、共稼ぎ世代を支援することが困難となっていますが、今年の4月にクリニックの隣りに0歳児から2歳児を対象とした認可保育園が開園します。当院としても何かあった時の準備をして行こうと考えております。新生児はともかくとして、乳児は経験がありますので、連携してお子さんの安全を確保していきたいと思います。不測の事態を想定した訓練も保育園と共同して取り組んで行きます。備えあれば憂いなしですよね。
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2015.12.28更新
救命処置
今年も余すところあと、4日となりました。診療は今日明日のみですが、一年を振り返って今年も無事診療を続けて来られたことに感謝をしています。これからも安心・安全な医療を継続していくために、日頃、救命処置のスキルを磨いていく必要があると考えています。臨床医として救急の現場でできなければならない主義があります。研修医のころはそれができるかできないかで優劣が決まってしまうほどのことです。その手技とは気管内挿管、中心静脈ライン確保、緊急気管切開、胸腔ドレーン挿入、腰椎麻酔、消化器科であれば緊急内視鏡下止血術(食道静脈瘤を含む)などです。病院の先生であれば、こんなの当たり前だよという手技ですが、開業してしまうとなかなか技術を維持していくのが困難です。私が救急病院で当直医として勤務しているのは、当クリニックを受診される患者さんが急変したときに対処できるようにという思いがあるからです。設備が不十分なためすべてができるわけではないですが、どんな状況でも焦らず冷静に対応しなければなりません。来年もレベルを維持するために、精進していく所存です。
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2015.12.26更新
当院のコンセプトと医療費
先日、厚労省から2016年度診療報酬改定において削減することが報告されました。主に薬価が削減され、医療本体は漸増します。すなわちどういう事かと言いますと、初診料や再診料がアップするのです。患者さんにとっては全体でみれば医療費は安くなるのですが、医療機関をいくつもはしごしますとその都度、初診料や再診料が請求されますので、その分負担が増えることになります。医療費を節約するためには受診する医療機関を減らさなければなりません。そうはいっても多くの方は複数の疾患を抱えていますし、疾患によって専門科を分けて受診することは大変面倒です。例えば糖尿病を患っている患者さんで変形性膝関節症を併発しますと、内科と整形外科をそれぞれ受診することになります。また、腰痛症と便秘症で整形外科にかかっているいる患者さんが血便を発症したときは消化器科を受診すると思いますが、痔であった場合は新たに肛門科を受診しなければなりません。患者さんにとっては手間ですし、お金もかかります。当院はこのような問題を一つのクリニックで解決することをコンセプトの一つとして、都心で立ち上げてやってきました。社会保障費が増大したこの時代こそ、当院のようなあらゆる疾患に対応できる医療機関が必要とされてきていると思います。当院を受診された場合は、気になることがあれば何でもご相談ください。きっとお役にたてると確信します。
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2015.12.15更新
薬のいい副作用
一般に薬の副作用とはその薬の目的以外の人体に有害な作用を指します。たとえば鎮痛剤を服用した際にできる胃潰瘍、血液をさらさらにする薬の内服で起こる脳出血、コレステロールを下げる薬でなる筋肉痛などが代表的なものです。ところが副作用の中でもそれが逆にある人にとっては有益な作用となることがあります。酸化マグネシウムは元来、胃潰瘍の薬でありましたが、副作用に下痢がありました。便秘の人に服用していただいたところ、便秘が解消したので今では便秘薬として知られています。他にはある種の緑内障の点眼薬を使用していたところ、睫毛が伸びてくるという反応がみられたため、現在は美容目的で専用に製剤化されたものもあります。あるED治療薬は前立腺肥大症に有効であるだけでなく、発毛促進作用もあることがわかっています。ここからが本題ですが、最近あるED治療薬が糖尿病予備軍の方のインスリン感受性を改善するという報告がされました。作用機序はまだはっきりしていませんが、動物実験ではβ細胞の機能が改善し、インスリン分泌能が亢進することが示されており、これが何らかの作用を経てインスリン感受性が改善されるのではないかと考えられています。女性でも同様の効果が認められているということです。糖尿病の方でEDでお悩みの方には特に朗報ではないでしょうか。更なる臨床研究結果が待たれます。
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2015.11.19更新
ホエイ
既にご存知の方も多いと思いますが、ホエイとは乳清のことです。英語で「whey」と書きます。乳清とはヨーグルトを買ってきてしばらく置いておくと出て来る上澄み液のことです。なんとなく古くなってくると出て来るので、私は気持ち悪くていつも捨てていました。でもこの中にはタンパク質のみならず免疫グロブリンやアルブミン、ラクトフェリンを始め体に有用な成分が多く含まれているのです。捨てるなんて、なんてもったいない!しかも乳清はインスリンの分泌を促進するGLP-1という酵素を誘導することがわかってきたのです。従って、糖尿病やその予備軍の方にもいいのです。ただ、乳清はなかなか手に入らないのが難点だそうです。毎日、ヨーグルトをたくさん摂ればいいのですが、そういうわけにも行きません。そこでサプリとしていろいろ出ているらしいのですが、注意点として加工品なので乳糖が多く含まれており、牛乳が苦手な方には向いておりません。当院で扱っているサプリは天然の成分と同様の中味となっておりますので、糖尿が気になる方にはお勧めです。
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2015.11.14更新
αグルコシダーゼ阻害剤とごぼう
αグルコシダーゼという酵素は小腸粘膜にあり、麦芽糖、ショ糖、乳糖などの二糖類を単糖類に分解して吸収しやすくする働きがあります。過剰に糖質を取り続けると、ブドウ糖などの単糖類が増え、その結果高血糖となります。糖尿病や境界型の方にはこの酵素の働きを抑える薬があり、糖の急激な上昇を抑えて高血糖にならないようにします。以前、このブログで糖尿病の方にはごぼう繊維質がお勧めと書きましたが、実はこのごぼうにイヌリンが豊富に含まれていて、このイヌリンがαグルコシダーゼの働きを抑える力を持っているということなのです。また、ごぼうには水溶性繊維質が多く含まれていて、この繊維が糖をからめて吸収しにくくすることも分かっています。他の食物で同様の作用があるのは切り干し大根です。従って、これら食材は糖尿病の方に大変お勧めできますし、境界型糖尿病などメタボの方にも予防効果があると思われます。薬だけに頼らずに糖尿病を改善する方法をいろいろと提案して行きたいと思います。
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2015.10.26更新
ワクチンの防腐剤
今年も木枯らしが吹き、インフルエンザの季節を迎えようとしています。各医療機関ではインフルエンザワクチンの予防接種が始まっておりますが、小さなお子様がいるお母さんや妊婦さんからワクチンの防腐剤についてよくお問い合わせがあります。この防腐剤にはエチル水銀という有機水銀が含まれています。水俣病で知られているメチル水銀とは異なりその毒性は遥かに低く、速やかに体外に排出されますので、一般に小児や妊婦さんでも問題ないとされています。そもそも防腐剤は1928年にオーストラリアでジフテリアのワクチンに細菌が混入して多数のこどもが死亡するという事故があってから添加されるようになりました。当時と比べて現在では当然衛生管理の技術が発達しておりますので、防腐剤の添加は徐々に減少する傾向にあるのも事実です。インフルエンザワクチンは毎年大量に作製され、広範囲に流通しますので、安全のため添加されているものが多いようです。また、防腐剤無添加のワクチンは一度開封しますと早く使用する必要がありますので、現状では管理する上でも手間がかかり、どうしても割高となってしまいます。むしろ、ワクチン内のエチル水銀の影響を心配するならば、マグロや金目鯛を一人前食するとメチル水銀がワクチンの62倍摂取することになりますので、こちらの方が危険ということになります。日本製のワクチンはWHOの基準をはるかにクリアしていますので、過度にご心配される必要は少ないと思います。
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2015.10.16更新
インフルエンザワクチン昨今
今年もインフルエンザの予防接種の時期が来ました。ニュースでは学童で既に流行の兆しがあり、学級閉鎖している地域もあると報道され、今シーズンは早目の接種が勧められています。シーズン前半はほとんどがA型で、現在の不活化ワクチンはH3N2(A香港型)とH1N1/09(いわゆる新型)に対応するものです。小児(2~8歳)でみると、新型に対する有効率は60%に達するものの、香港型には15%程度しか効かないようです。よく予防接種したのにインフルエンザに罹ったというのは大方、香港型だそうです。「じゃあ、打ってもしょうがない」と思われる方もいると思いますが、専門家の意見では接種していると、脳症などの重症化へ移行することがないと述べています。最近は経鼻接種のインフルエンザ生ワクチン(フルミスト)が話題になっておりますが、針で刺さないので痛くないという利点がありますが、日本では認可されていないため、個人輸入する必要があり従って、値段も高くなっております。しかし、直近の米国の報告は、2~8歳の小児では香港型にも新型にもほとんど効かないというショッキングなものでした。この結果を踏まえて、日本のある研究施設で新たな不活化経鼻ワクチンを開発中で、治験段階ではその有効率はかなり高いものになっているそうです。ただし、実用化は4年先の見通しだそうです。年齢制限が49歳以下ということもあり、我々の世代には当面関係がありませんが子供さんには期待したいものです。
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