2014.09.30更新
食塩感受性高血圧
このひと月、バタバタしておりまして、久し振りの書き込みとなります。最近、高血圧症の患者さんを診ておりまして、塩分制限をどの程度勧めるべきか考えています。日本人の高血圧症の患者さんのうち約40%が食塩感受性高血圧と言われています。食塩を摂りすぎると腎臓でのナトリウム再吸収が促進され、循環血漿量が増して血圧があがります。従って、食塩摂取量を日本人の平均食塩摂取量の半分くらい(約6グラム)にする必要がありますが、一気に減らしますと気力減退や疲労などの症状が出ますので、途中で挫折してしまいます。塩分制限は長年の習慣もありますし、外食が多いと難しいのが実情です。食塩感受性があるか無いかの判断はある程度問診などで可能です。本疾患が疑われた場合は、塩分制限指導を行い、ナトリウム排泄を促進する降圧剤を使用します。血圧の薬を服用してもなかなか下がらない方、塩分制限が出来ない方は一度当院にご相談してください。
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2014.09.18更新
救急医療現場の矛盾
救急病院で休日の日当直業務をこなしていますと、医療の矛盾を感じることが間々あります。一般に救急車を依頼するときは患者さん本人が動けないほど苦痛を伴うことが多いと思います。従って救急医療管理加算(800点)という高い点数がつきます。しかし、現実はそれほど重症感のない患者さんも様々な理由で救急搬送を依頼しています。ドクター側としては先入観を持たずに診察をしますので、たとえば「胸が痛い」や「胸が苦しい」というと、心電図や胸部X線撮影だけでなく、胸部CTの検査をします。また、「頭が痛い」、「ふらつく」などの訴えがありますと、頭部CTの検査をします。初診であればもちろん、血液検査はすべての項目でします。特に胸の症状があるときはトロポニンテストという心筋梗塞を除外する検査も行うことがあります。患者さん側も心配しますが、それ以上にドクター側も見逃したら訴訟になってしまうかも知れないという気持ちがありますので、できる検査はすべてやった方が無難という心理が働きます。まあ、普段の日の診療ならばそういう気持ちにはならないのでしょうが、仕方ないのかなと思います。何が言いたいかと申しますと、医者が不安を取り除くために過剰診療している可能性があるということです。これは擁護するわけではありませんが、社会全体の責任でもあるでしょう。医療費削減を声高に言うのであれば、このような救急医療の実態も国が改善していかなければなりません。未明の診察室でふと思いついた独り言でした。
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2014.09.08更新
平均寿命
7月に既に発表され、皆さんはご存知かと思いますが、女性の平均寿命が86.61歳と更に上がって連続世界一となっています。赤ちゃんが生まれた時に期待できる寿命が86歳を超えているのです。老後が長いということはそれだけ自分の力で身の回りのことをしなければなりません。これからは健やかにどうやって老いるかということが医療のテーマになってきます。なぜ、女性を話題にさせていただいたかと申しますと、老化は肌だけではなく気が付かないうちに骨にも、ひたひたとあなたの足元に近づいているからです。若いうちはひたすらお肌のケアをしますが、50歳を過ぎる頃から閉経によるホルモンバランスが崩れ、いわゆる更年期障害を起こしてきます。この時点では顔がのぼせるとか、いらいらするとか女性ホルモンの欠乏による症状が出てきます。そして、ある程度時間が過ぎると症状は改善し、安定してきますので、女性ホルモンの欠乏していることを忘れてしまいます。しかし、女性ホルモンは骨からのカルシウムの喪失を防ぐ作用がありますから、欠乏しますと骨密度が低下しいわゆる骨粗しょう症に至ります。放置しておきますと、骨折や腰痛症の原因となり、寝たきり状態となってしまいます。それでは健やかに老いるとはいえず、平均寿命までの長い期間、介護を受けざるを得ません。そうならないためにも、閉経後から骨粗しょう症対策は入念に行うべきです。簡単な血液と超音波による骨密度の検査で骨の状態が把握できますので、気軽な気持ちで受診してみて下さい。
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