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2014.09.18

救急医療現場の矛盾

救急病院で休日の日当直業務をこなしていますと、医療の矛盾を感じることが間々あります。一般に救急車を依頼するときは患者さん本人が動けないほど苦痛を伴うことが多いと思います。従って救急医療管理加算(800点)という高い点数がつきます。しかし、現実はそれほど重症感のない患者さんも様々な理由で救急搬送を依頼しています。ドクター側としては先入観を持たずに診察をしますので、たとえば「胸が痛い」や「胸が苦しい」というと、心電図や胸部X線撮影だけでなく、胸部CTの検査をします。また、「頭が痛い」、「ふらつく」などの訴えがありますと、頭部CTの検査をします。初診であればもちろん、血液検査はすべての項目でします。特に胸の症状があるときはトロポニンテストという心筋梗塞を除外する検査も行うことがあります。患者さん側も心配しますが、それ以上にドクター側も見逃したら訴訟になってしまうかも知れないという気持ちがありますので、できる検査はすべてやった方が無難という心理が働きます。まあ、普段の日の診療ならばそういう気持ちにはならないのでしょうが、仕方ないのかなと思います。何が言いたいかと申しますと、医者が不安を取り除くために過剰診療している可能性があるということです。これは擁護するわけではありませんが、社会全体の責任でもあるでしょう。医療費削減を声高に言うのであれば、このような救急医療の実態も国が改善していかなければなりません。未明の診察室でふと思いついた独り言でした。

投稿者: みなと芝クリニック


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