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2016.11.17更新

昭和脳と過労死

昭和脳という言葉を御存知でしょうか。

昭和脳
体育会系ど根性を美徳とする。ルールよりも人情、感情で動く。
考える暇があったらまずやれ。トライ・アンド・エラー精神。
仕事・会社への優先順位・忠誠度が高く、家庭よりも仕事が大事。上司や同僚に迷惑をかけられない。
テレビ、新聞などの大手メディアに慣れ親しんでいる。ネット情報を信用しない。

私の所属した医局は、バリバリの昭和脳集団でした。そこで私も指導を受けていたのですが、当時はどんなに辛くてもここを乗り切ればパラダイスが待っていると信じて頑張っていました。他の医局に移ろうとか、辞めようとかいう選択肢は全くありませんでした。若い時は、辞めたら家族や周りの期待を裏切ってしまうのではないか、次のところでもうまく行かないのではないかという強迫観念があるのかも知れません。これはある意味、自分で意思決定する力が弱いのかもしれません。自信がなく、不安になってしまうのです。事実、私も若い時は環境を変える勇気はありませんでした。でも、これは日本人はもともと、自立心を養う教育はされていない、つまり個よりも和を尊重する教育を重視しているからだと思います。米国にいた時、若い研究員がどんどん次の研究室を探して出ていくのを目の当たりにしました。より良い環境を求めて世話になった研究室をドライに辞めてしまう感覚は日本人にはありません。しかし、これからのグローバル社会では通用しませんので、行き過ぎた昭和脳は省みられなければならないのでしょう。マナーや礼節は日本人として基本ですが、もっと若い人に自立心を持たせる教育や指導をして、過労死を予防することが、われわれ昭和脳最終世代の役目と思います。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.10.20更新

医療用はちみつ

2週間ほど前にある患者さんからの紹介で、はちみつの本をお借りして読んでみました。日本薬局方にはちみつを「口唇の亀裂、あれにはそのまま患部に塗る」と書いてあるそうです。医療用はちみつの存在を知りました。元祖はニュージーランドで産生される「マヌカハニー」が最も有名ですね。でも、治療に直接使用されているとは思いませんでした。特にマヌカハニーにはメチルグリオキサールという抗菌成分が含まれており、歯周病菌のミュータンス菌をはじめとした悪玉菌の増殖を抑制することが知られています。一説にはピロリ菌にも効くという話もあるほどです。日本産ではそばや栗、菩提樹からとれたはちみつには鉄、銅、亜鉛など皮膚の創傷治癒、胃炎や潰瘍で傷ついた粘膜の修復に必要な成分が豊富に含まれていますので、はちみつを摂取することで傷、褥瘡、口内炎、胃炎や潰瘍が治ると言われています。その他に、はちみつに含まれるオリゴ糖やグルコン酸は腸内善玉菌のプレバイオティクスでもあるのです。従って、毎日はちみつを摂取することは体の免疫力を上げて、抵抗力を増す効果があるといえます。おおさじ一杯程度ならば、カロリーは気にする必要はありませんので、糖尿病の方にも安心してお勧めできる健康法です。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.09.13更新

低糖質ダイエット時の不飽和脂肪酸およびアミノ酸補給

先日は低糖質ダイエットのメリットについて述べましたが、今回はデメリットとその対策について話します。一般に低糖質ダイエットを始めますと炭水化物をほとんど摂取しませんので、空腹感が強くなります。低糖質ダイエットではタンパク質や脂質の制限をしませんので、空腹感を紛らわすために肉類の摂取が増加します。従って、コレステロールが上昇してきますので、動脈硬化が進行し心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなると言われています。コレステロールに対しては不飽和脂肪酸特に多価不飽和脂肪酸を摂取することで、悪玉コレステロールの上昇が抑えられ、動脈硬化を防ぎます。食品としてはサバ、サンマ、イワシなどの青魚系やえごま油です。オリーブオイルは一価の不飽和脂肪酸ですので、オリーブオイルだけ摂取していてはバランスが悪くなるので注意してください。もう一つの問題点はダイエットとともに筋肉量が落ちてくることです。糖質を制限しますと筋肉内のタンパク質がエネルギー源として消費されてしまいます。それを補うためにタンパク質を多く摂る必要があります。特にロイシン、イソロイシン、バリンといった分枝鎖アミノ酸が筋肉形成には必要です。white meatと呼ばれる鶏肉や魚(赤身)に多く含まれますが、サプリメントの形で摂取するのも良いと思います。このようなことに注意して低糖質ダイエットを行えば、心配することはありません。是非、低糖質ダイエットで頑張ってください。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.09.06更新

ジカ熱ウィルスワクチン

リオオリンピックでジカ熱が話題になりましたが、感染者が日本人でもポツポツ出始めています。アメリカでは感染が拡大しているというニュースも流れてきました。このウィルスに対するワクチンはまだ研究段階です。実用化が急がれていますが、先日、武田薬品工業が米国のNIH(保健省)からワクチン製造の依頼があり、補助金が交付されました。武田のMRさんに聞きますと、まだ作製には着手していないそうです。ところが、ついこの間、千葉県衛生研究所がジカ熱に感染した日本人からウィルスを分離したと発表があり、大阪と熊本のワクチン製造メーカーに提供したというニュースがありました。大阪は阪大微研、熊本は化血研です。化血研はワクチン製造法に国の基準違反があり、今年の5月6日に営業停止処分が解除されたばかりです。熊本の震災で製造能力が低下し、今年のインフルエンザワクチンが間に合わないということで、他社にワクチン製造の負担を強いている状況で、新しいワクチンの開発が安全性を担保してできるのでしょうか。マスコミも「熊本の」としか伝えておらず、名称を伏せたのはなぜでしょうか。やましいことがあるのでしょうか。何か利権がからんでいるような気がしてなりません。医療者としてこれからの動向を注視していきます。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.08.30更新

低糖質ダイエットとSGLT2阻害剤

糖質制限食で血中の糖を減らす方法と、余分な糖を尿中に排出させて血中の糖を減らすというSGLT2阻害剤は、糖を減らすという点に関しては変わりないのですが、体重を減らす効果は前者に軍配があがります。一体どこに違いがあるのでしょうか。前者は極端に糖質を減らすため、タンパク質や脂肪が分解されて筋肉量が減ってしまいます。筋肉の密度は高いため、少しでも減ると体重に及ぼす影響が強いのです。一方、後者は余分な糖を排出させるだけなので、徐々に体重が減少しますが、平均で3kg前後と言われています。ただし、ある程度糖質が入っていますので、タンパク質や脂肪の分解はそれほどでも無いと言えます。低糖質ダイエットは炭水化物の代替として糖質の少ない肉や乳脂肪の摂取が増えてしまうことが多いので、長期間続けていると動脈硬化が進む恐れがあります。摂り過ぎたコレステロールに対し、不飽和脂肪酸の摂取も積極的にしなければいけません。もちろん、SGLT2阻害剤を内服しているとはいえ、食べ過ぎは効果がありませんので、食事量は減らさなければ期待した結果は得られません。いずれにしても余分な体内の脂肪を燃焼させるために運動、特に筋肉のレジスタンス運動(有酸素運動はあまり糖の代謝に影響しない)が必要となります。低糖質ダイエットは効果が高いので初期に導入し、維持をSGLT2阻害薬で行うというのが無理のない方法かと考えます。

 

投稿者: みなと芝クリニック

2016.07.26更新

癜風

「癜風と」書いて「でんぷう」と読みます。聞きなれない言葉ですが、皮膚の病気の一種です。毛穴に沿った炎症を起こし、かゆみを伴います。原因はマラセチア菌というカビの一種です。マラセチアと聞いて「ああ」と思われる方も多いでしょう。ペットを飼っている方は聞いたことがあるかも知れません。でも、犬などのマラセチア菌はヒトには感染しないようです。なかなか治りにくい湿疹(特にぼつぼつした発疹)はこの病気の可能性があります。胸や背中に多いようですが、顔や手足にもできます。よく、ステロイド軟膏を使っていて治らないという時に、マラセチアだったという話はよく聞きます。色は褐色や時に脱色して白っぽくなっていることもありますので、皮膚科を標榜しているクリニックに相談しましょう。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.07.05更新

咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)

梅雨明けももうすぐというこの時期、暑い日はプールで泳ぎたくなりますね。そんな時に流行する風邪があります。いわゆるプール熱と言って、結膜炎を伴う風邪です。感染力が強く、家族内感染が起きやすいです。原因はアデノウィルスのB,E種で、2日間の潜伏期間をおいて発症します。症状のピークは3-4日で、自然に軽快しますが、内服するとすれば消炎鎮痛剤や解熱薬になります。飛沫感染や接触感染で広がるので、マスク着用、手洗いやうがいで感染を防ぐことができます。眼症状を伴う(目のかゆみ、眼脂など)風邪の場合はこれですので、内科のみならず眼科も受診しましょう。放っておきますと角膜が混濁することがありますので、注意してください。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.06.30更新

ジカ熱と虫よけの話

今、ジカ熱ウィルスが関心を集めてます。妊婦さんが感染すると子供が小頭症になる異常が表れます。その頻度は妊娠初期(20週未満)の感染で10人に1人だそうです。小頭症になると精神発達遅延となりますので、これから妊娠を考えている方は、感染地域の旅行は避けるべきでしょう。そうはいっても、蚊が媒介しますので、海外で感染した人が日本で蚊に刺されますと、刺した蚊が他人へウィルスを広げてしまうのです。これからリオオリンピックが始まって、感染した人が日本に入国してきた場合、、日本にいても決して安全とはいえなくなるのです。水際で防ぐのが困難である以上、唯一の予防は蚊に刺されないようにすることです。現在、ワクチンは開発中のため実用化にはまだ時間がかかるようです。虫よけ剤を使うのが最も一般的でありますが、市販の虫よけの多くにディートという化学物質が含まれています。このディートは濃ければ濃いほど虫よけ効果が高いことが分かっています。最近、厚労省は規制を緩和して、高濃度のディートを含む虫よけ剤を認可する方針を打ち出しました。ただし、お子さんや妊婦さんへの安全性が確立していないので(神経障害やけいれん、発疹等)、外国の一部ではそれらの方への使用を禁止しているところもあります。ハーブ系の虫よけは安全ですが効果が少ないようです。ディートよりは効果がやや劣りますが、国内で副作用の少ないイリカジンを配合した虫よけ剤が認可されています。ディートが心配な方は、イリカジンでジカ熱対策をすることをお勧めします。長くなりましてすみません。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.06.27更新

うつ病と腸内細菌

腸内細菌がアレルギー疾患、アトピー、糖尿病、過敏性腸症候群の発症に関与していることは当院のホームページでも取り上げていますが、最近、うつ病にも腸内細菌が関連しているという発表がされました。研究報告によると、ビフィズス菌がうつ病の患者さんで健常人の1/3、ラクトバチルス菌が1/5に減少していることがわかりました。また、うつ病の患者さんは過敏性腸症候群を伴う割合が高いということも判明しました。これらの疾患が腸内細菌で繋がっているとは驚きです。うつ病は年々増加する傾向にあり、国内では約73万人の患者さんがいると言われていますが、実際はその数倍はいると推測されています。うつ病の発症予防、あるいは治療に腸内細菌の摂取は有効と考えられます。

投稿者: みなと芝クリニック

2016.05.31更新

おたふくかぜ

今年の1月ごろにおたふくかぜの流行が報じられましたが、5月末になって流行が目立ってきました。おたふくかぜはご存知のように、別名流行性耳下腺炎といい、ムンプスウィルスというRNAウィルスによって引き起こされます。主に耳下腺が腫れて熱がでますが、顎下腺が腫れることもあり、リンパ節の腫れと似ています。潜伏期間は2~3週間とされており、発症してから1~2週間で症状はおさまるそうです。一応、5日間は自宅等で安静療養が義務づけられていますが、感染の恐れがある場合はその限りでは無いようです。また、不顕性感染といって、症状が出ない場合が約30%ほどあるそうです。治療は消炎鎮痛剤の投与や患部の冷却ですが、合併症として無菌性髄膜炎があります。頭痛や意識障害が見られた時は、最寄りの専門機関の受診が必要です。予防法はワクチン接種ですが、ワクチンを受けていても感染することがありますので、安心とは言えないようです。

投稿者: みなと芝クリニック

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