クリニックブログ

2015.02.20

ふん便移植

最近、オランダの研究グループから、偽膜性腸炎の患者さんに健康な人の便の腸内細菌を注入したところ病気が改善したという報告がありました。偽膜性腸炎は抗生物質の過剰投与などで腸内細菌叢が変化し、クロストリジウム ディフィシルという嫌気性菌が増殖して発症します。他の抗生物質に抵抗性があり、難治性で時に致命的になります。バンコマイシンという抗生物質が特効薬でしたが、近年、耐性菌もあると言われています。日本ではこの治療を潰瘍性大腸炎の患者さんに応用しようという動きがあります。潰瘍性大腸炎も腸内細菌叢の異常により発症すると考えられている部分がありますので、効果が期待できるそうです。私は過敏性腸症候群の患者さんにもいいのではないかと考えています。現在のところ、乳酸菌などの善玉腸内細菌を大量に補充することにより対応していますが、難点は時間がかかることです。悪玉菌を駆除するという観点からすると、大腸癌の予防にも使えるのではないかと考えます。いずれにしてもどのような腸内細菌のアンバラスが疾病と関係しているのかを明確にする必要があるでしょう。腸内細菌叢の検査は保険が効きませんが、約3万円で網羅的に知ることが可能です。

投稿者: みなと芝クリニック

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