この結果、股関節にかかる負担が大きくなり、日常の動作や歩行に支障を来すようになります。そして、筋力低下が目立ってきますと、更に股関節に痛みを感じるようになります。若いときは、筋肉が股関節をしっかりサポートしてくれるので、仮に股関節が多少傷んでいてもあまり影響は出ませんが、ある程度の年齢になると、運動不足も加わって筋力が弱まってくるので、歩いているときに足がふらつくようになります。歩行を安定させるために股関節で支えようと負担をかけてしまい、次第に痛みが発生してくるのです。また、年齢を重ねると、どうしても大腿骨の骨密度が低下し脆くなってきますので、歩き方にもブレが生じ、更に股関節に悪影響を及ぼします。その結果、違和感や痛みが現れやすくなるのです。なんとか我慢できるうちはよくても、限界に達すると歩けなくなってきます。深刻化すると最悪の場合、人工関節に交換する手術を受けざるをえなくなることもあります。この状態を脱するためには、股関節周囲の筋力をアップするほかありません。股関節を支えている筋にはアウターマッスル(表層筋)とインナーマッスル(深層筋)があります。アウターマッスルには股関節を外転する筋と内転する筋、そして伸展する筋があります。外転筋は、股関節を外側に開く、つまり、足を開くための筋肉です。お尻の中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋などがそれに当たります。一方、内転筋は、股関節を内側に閉じる(足を閉じる)ための筋肉です。これには、大内転筋、短内転筋、長内転筋などが含まれます。従って股関節は、外転筋と内転筋を鍛えるだけでも、支える力をかなり補強することができます。そして、股関節を伸展する大殿筋、大腿二頭筋(いわゆるハムストリング)は股関節と大腿をしっかり安定させる筋で、股関節のぐらつきを防止します。これらアウターマッスルの筋力低下は日常生活の中で自覚しやすいので、歩行、立ち上がりや階段の昇降に違和感を感じた時は、「8の字タオル体操」という運動法を皆さんにお勧めします。