薬の副作用による胎児への影響は大きく「催奇形性」と「胎児毒性」に分けられます。妊娠2か月から4か月は器官形成期であり、薬剤に対する反応が過敏な時期で、2か月ごろは中枢神経、心臓、手足の形成、3か月から4か月は性の分化、口蓋の形成に影響が出ることがあります。4か月以降は薬剤による催奇形性は起こらなくなりますが、胎児毒性と言って、胎児の発育が抑えられる、あるいは臓器に障害が現れることがあります。一方、受精後から妊娠1か月は受精卵に影響がでなければ、奇形などの後遺症は生じませんが、影響が出た場合は流産してしまいます。この時期の薬の内服は慎重に行う必要がありますが、同時に妊娠に気が付きにくい時期でもありますので、少しでも疑いのある場合は服薬を控えてください。
しかしながら、実際にほとんどの薬剤の奇形発生率は、自然奇形発生率を大きく上回るものがなく、薬剤との因果関係は証明されていません。従って、妊娠中の急な病気を治療せず、苦痛を感じることは胎児にもストレスとなりますので、必要があれば服薬を躊躇することなく、病気を治療することをお勧めします。