糖尿病と診断された患者さんの中で、HbA1cの値が7や8の台で経過観察されている方が中にはいらっしゃいますが、糖尿病性の網膜症や腎症などの血管性病変による合併症を予防するためには、7.0以下でコントロールすることが良いとされています。
食事療法も大切ですが、仕事上の付き合いなどで難しい方の場合は他の有効な手立てがないまま時間が経ち、糖尿病がさらに進行してしまうおそれがあります。
また、糖尿病の薬を増やしても血糖調節が不良だとインスリン治療を勧められてしまう場合があります。
インスリンには、糖毒性を軽減する作用があります。糖毒性とは、血糖値が高いこと自体がインスリンの分泌を低下させたり働きを悪くさせたりしてしまう性質のことです。使い方によってはインスリンは有効なのですが、一方で、必要のない患者さんも多く見受けられます。
インスリン治療には副作用の可能性も
Ⅱ型糖尿病での安易なインスリン治療の導入は、動脈硬化を促進させたり、低血糖発作を起こしたりする重い副作用がありますので、患者さんのQOL(生活の質)を考慮するなら、なるべく避けた方が良いでしょう。
当院ではまず、患者さんのインスリン基礎分泌量(C-ペプタイド)を糖負荷テストにより測定し、その方に合った糖尿病治療を提案します。
糖尿病も原因が徐々に解明されるにつれ、新しい治療薬が開発されてきています。
いずれも副作用が少なく、これらの薬剤を適切に組み合わせることにより、HbA1cや血糖値をコントロールできる可能性が出てきました。
今までの糖尿病治療に不満や疑問を感じる患者さんはぜひ、当院で見直されることをお勧めします。
健康診断で糖尿病予備軍(HbA1c 5.9前後あるいは空腹時血糖が109を超えている)と言われた方が、将来糖尿病になることを未然に防ぐための外来です。
予防は食事、運動療法が基本ですが、予備軍の方の多くは働き盛りの年代ですので、制約の多い食事、運動療法を続けることはかなり難しいと思われます。
そこで、希望される方には食事療法の代用として、βグルカン、食物繊維、ポリフェノールを含むサプリメントを服用することを勧めます。
検査としては糖負荷テストを行い、血糖値の変動およびインスリンの基礎分泌量を測定し、インスリン分泌不足の程度、インスリン抵抗性の有無を診断します。
検査結果を基に、まずは薬物療法により糖尿病への進展を抑え、余裕ができた時点で徐々にサプリメントを含めた食事、運動療法を取り入れて、最終的には薬物療法から離脱することをゴールとします。
糖尿病と診断名を付けず、耐糖能異常症として治療を行います。