
「昨日まで何もなかったのに、顔に小さな白い斑点ができている…」
鏡を見て気づいた白い変化に、不安を感じていませんか。とくにそれが子どもの顔だったり、授乳中のご自身の体だったりすると、「これは何だろう」「放っておいて大丈夫?」という疑問は、一気に深刻な心配へと変わります。
実は、皮膚に白い斑点が出る原因はいくつもあり、すべてが白斑(尋常性白斑)とは限りません。しかし逆に言えば、「白斑かもしれない」と早めに気づけたあなたは、すでに最初の重要なステップを踏んでいるのです。
この記事では、白斑の初期症状がどのように始まるのか、似た病気との見分け方、そして「子ども」「顔」「授乳中」といった状況別に知っておくべきポイントを、医療現場の視点から詳しく解説します。
白斑の初期症状:最初に現れる3つの変化
白斑(尋常性白斑)は、皮膚の色素を作るメラノサイトという細胞の働きが低下し、肌の色が抜けてしまう状態です。多くの場合、次のような変化から始まります。
1. 境界がはっきりした白い斑点
初期段階では、直径数ミリ〜1cm程度の白い斑点として現れることが多いです。健康な肌との境界線が比較的はっきりしており、「ここまで白い、ここからは普通の肌色」という区切りが分かります。
この段階では薄いクリーム色に見えることもあり、「日焼けの跡かな」「乾燥かな」と見過ごされやすいのが特徴です。
2. 痛みやかゆみがほとんどない
白斑の大きな特徴は、症状があっても自覚しにくい点です。皮膚科の診察で「いつからですか?」と尋ねると、「気づいたら白くなっていた」と答える方が少なくありません。
ただし、白斑が広がる進行期には、軽いかゆみやチクチク感を伴うケースもあります。これは色素細胞が影響を受けている兆候の一つです。
3. 顔・手・指先など目立つ部位に出やすい
白斑が最初に現れやすいのは、次のような部位です。
• 顔(目・口のまわり、額)
• 手の甲、指先
• 手首、肘、膝
• 脇や下腹部
これらの部位は、摩擦や紫外線の影響を受けやすく、色素細胞がストレスにさらされやすい場所でもあります。また、毛が生えている部位では毛が白くなることもあり、これが早期発見のきっかけになる場合もあります。
白斑は感染症ではなく、他人にうつる病気ではありません。 お子さんが保育園や学校で過ごす上でも、感染リスクを心配する必要はないことを知っておいてください。
なぜ「白い斑点=白斑」と決めつけてはいけないのか
ここで注意したいのは、白い斑点が出る皮膚疾患は白斑だけではないという事実です。
医療現場でも、視診だけで確定診断することは稀で、Wood灯という特殊なライトを使った検査や、場合によっては血液検査を併用して判断します。
白斑と間違えやすい主な皮膚疾患
| 病名 | 特徴 | 白斑との違い |
|---|---|---|
| 単純性粃糠疹(はたけ) | 顔や腕に薄い白い斑点、乾燥しやすい | 境界が不明瞭、カサカサする |
| 癜風(でんぷう) | 真菌による色調変化 | 薄茶〜白まで混在、胸や背中に多い |
| 炎症後色素脱失 | ケガや湿疹の後に色が抜ける | 炎症の既往がある |
| 老人性白斑 | 加齢による小さな白斑 | 高齢者に多い、数ミリ程度の点状 |
これらの病気は、それぞれ原因も治療法も異なります。だからこそ、自己判断で様子を見続けることは、かえって診断を遅らせるリスクになります。
子ども・赤ちゃんに白斑が出たとき:親が知っておくべきこと

お子さんの肌に白い変化を見つけたとき、多くの親御さんが最初に感じるのは「これは消えるのか」「将来もっと広がるのか」という不安です。
特に初めて気づいた瞬間は、「いつの間にこんなに白くなったんだろう」「昨日お風呂に入れたときは気づかなかったのに」と、自分の観察不足を責めてしまう方もいらっしゃいます。しかし、白斑は痛みやかゆみが少ないため、親御さんが気づきにくいのは当然のことです。
子どもの白斑の特徴と初期症状
1. 汎発型(左右対称に広がるタイプ)
• 全身に散らばるように出る
• 手足、顔、体幹など複数箇所に同時に現れることが多い
• 進行が比較的ゆっくりで、数か月〜数年かけて広がる
• 左右対称に出やすい(例:両手の甲、両膝など)
• 成人期まで続くことが多いが、進行速度には個人差が大きい
汎発型は、全身のメラノサイト(色素細胞)が広範囲に影響を受けるタイプで、小児期に発症すると長期的な経過観察が必要になります。ただし、進行がゆっくりなので、治療を計画的に進めやすいという側面もあります。
2. 分節型(片側優位に出るタイプ)
• 体の左右どちらか一方に集中
• 子どもでは分節型の割合が相対的に高い
• 進行が早い場合もあるが、ある程度で止まりやすい
• 多くは1〜2年以内に進行が止まり、その後は安定する傾向
• 再発や新たな部位への拡大は汎発型より少ない
分節型は、神経の走行に沿って白斑が出るため、「顔の右半分だけ」「左腕だけ」といった偏った出方をします。見た目の変化が目立ちやすいため、親御さんの心理的負担も大きくなりがちです。
しかし、分節型には希望もあります。汎発型と違い、一定期間で進行が止まりやすく、範囲が限定されているため、治療の選択肢を絞り込みやすいのです。
赤ちゃん特有の注意点
生後数か月〜1歳前後の赤ちゃんに白い斑点が見られた場合、白斑(尋常性白斑)以外の可能性も考慮する必要があります。
白斑と間違えやすい乳幼児の皮膚変化
乾燥性の色素変化
• 冬場や乾燥しやすい時期に、一時的に肌が白っぽく見える
• 保湿で改善することが多い
単純性粃糠疹(はたけ)
• 顔や腕に薄い白い斑点が出る
• 境界が不明瞭で、カサカサしている
• アトピー素因のある子に出やすい
先天性の色素異常
•生まれつき部分的に色が薄い
•成長とともに目立たなくなることもある
赤ちゃんの場合、皮膚のバリア機能が未熟なため、外的刺激による一時的な色調変化も起こりやすいです。そのため、「すぐに白斑」と決めつけず、まずは皮膚科で鑑別してもらうことが重要です。
授乳中に白斑が出たとき:お母さんが知っておくべきこと
授乳中に自分の体に白い斑点を見つけたとき、多くのお母さんが最初に感じるのは「これは何だろう」「授乳に影響しないか」という不安です。
特に産後の慌ただしい日々の中で、ふと鏡を見たときや、お風呂で気づいたときの戸惑いは大きいものです。
さらに、「授乳 白斑」で検索すると、皮膚の白斑(尋常性白斑)と乳頭の白斑(乳口炎・乳栓)という2種類の情報が混在し、余計に混乱してしまうこともあります。
2種類の「白斑」の違い
1. 皮膚の白斑(尋常性白斑)
皮膚の白斑(尋常性白斑)は、肌の色素を作るメラノサイト(色素細胞)の働きが低下し、皮膚の一部が白くなる病気です。腕、顔、首、手、体幹など、体のあちこちに出現することがあります。授乳とは直接関係ありませんが、産後はホルモンバランスや免疫システムが大きく変化するため、この時期に白斑が初めて発症したり、既存の白斑が悪化したりすることがあります。
特徴:
• 腕、顔、首、体幹など、体のあちこちに出る
• 肌の色素が抜けて白くなる
• 痛みは少ないことが多い
• 授乳とは直接関係しない(ただし産後に発症・悪化することはある)
• 境界がはっきりしている
• 感染しない
2. 乳頭の白斑(乳口炎・乳栓)
乳頭の白斑(乳口炎・乳栓)は、乳頭(乳首)の先端に白いできものができる授乳トラブルの一種です。母乳の出口である乳管開口部が詰まり、その部分が白いニキビのように見えます。最大の特徴は、授乳時に強い痛みを伴うことで、チクチク、ズキズキと刺すような痛みを感じることが多いです。
特徴:
• 乳頭(乳首)に白いできものができる
• 授乳時に強い痛みを伴う
• 母乳の出口が詰まることで起こる
• 授乳トラブルの一種
• 数日〜1週間程度で改善することが多い
判別のための簡単なチェックリスト
次の質問に答えて、どちらの白斑かを判断してください。
| 病名 | 特徴 | 白斑との違い |
|---|---|---|
| 単純性粃糠疹(はたけ) | 顔や腕に薄い白い斑点、乾燥しやすい | 境界が不明瞭、カサカサする |
| 癜風(でんぷう) | 真菌による色調変化 | 薄茶〜白まで混在、胸や背中に多い |
| 炎症後色素脱失 | ケガや湿疹の後に色が抜ける | 炎症の既往がある |
| 老人性白斑 | 加齢による小さな白斑 | 高齢者に多い、数ミリ程度の点状 |
執筆者紹介
みなと芝クリニック 名誉院長 川本 徹
| 1987年 | 筑波大学医学専門学群卒業 |
|---|---|
| 1993年 | 筑波大学大学院医学研究科修了 博士(医学) |
| 1996年 | 筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師 |
| 2003年 | 米国テキサス大学MDアンダーソン癌センター客員講師 |
| 2008年 | 東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師 |
| 2010年5月より、 | みなと芝クリニック 院長 |
| 2013年 | 東邦大学医学部医学科 客員講師 |
| 2022年10月 | みなと芝クリニック名誉院長 |
| 2022年11月 | 犀星の杜クリニック六本木院長 |
| 専門分野 | 内科、整形外科、皮膚科 |
|---|---|
| 認定医・専門医 | 日本外科学会 認定医 日本消化器外科学会 認定医 日本消化器病学会認定消化器病専門医 日本抗加齢学会会員 |
| その他の所属学会 | 米国臨床腫瘍学会 正会員 米国癌学会 正会員 |









